介護保険に負けた、「福祉」

福祉 には哲学が必要だ。

家族の思いの、尊さと。

最近、ターミナル期に関わらせていただく事が増えた。
とある日、初回アセスメントにてガンの末期と診断され自宅療養されているご本人とご家族にお会いする。
訪問すると、ご本人は寝ているとの事。
そこで、まずはご家族と日ごろの療養のされ方などを尋ね、情報を確認する。
あらかたお話し終えたころに、ご本人が起きた様子とご家族から教えてもらい、
ご本人にお会いするが、けだるそうに頷き挨拶をしていただけた程度であった。
.
なんとなく、飾られていたカレンダーに目をやると、
急速に体調が悪化してしまったという10日前くらいの日付の所に、
「 お父さん、早く良くなってください 」
という別居されている娘様らしき、筆跡。
.
自分の姿勢が、問われる。
大勢の中の一人として、さっきまで対峙していなかったか。
年末の、慌ただしい一年中で最も忙しい時期の訪問に、気のゆるみや焦りがあったのではないか、
.
訪問を終え、玄関を出た外はすでに暗くなっており、
冷たい風が相変わらずふいている。
「 なにができるか? 」 って、考えながら、
携帯電話を取り出した。
.
あるような、うその話。