結婚と入れ歯。
結婚と入れ歯は、似ているな、と思う。
入れ歯は、どんなに優秀なDrでもそれぞれの歯茎に最初からピッタリ合うものを作れない。
入れ歯が合うには、歯茎の側が馴染んで形を合わせるしかない。
その間、歯茎が馴染むまでは痛みを伴う。
時には、出血する事もある。
だけれど、それに耐えた先には、
その人にとって、無くてはならない体の一部に変化する。
歯茎が悲鳴をあげていたはずなのに、いつの間にかその形に沿うている。
結婚もきっと、同じで。
神様は、どんなに優秀な神様でも最初からふたりをピッタリには作れない。
造らないのかもしれない。
苦労や痛みや不安に耐えた先に、
この人でよかった、そんな風に、
かけがえのない存在であることがわかるのかもしれない。
お互いの、別々の人生。
それを歩んできた者同士なのだから、最初から嚙み合わないのは自然な事。
苦労や痛みを共に味わい、その経験と歴史を積み重ねて、
お互いは、かけがえのない存在になれるのだと思う。
ひとつとひとつ、お互いが添うている。
逆に、
そのような事を試行錯誤しない場合には、
ずっと、なんだか嚙み合わせが合わないなぁ、という我慢をして、
暮らす事になってしまう、のかもしれない。